あなたの旅行154 左目上の頭痛 積もる雪くらいの 溶ければいいな そのころにはまた降って 同じことを思うか 白くてふわふわなのになぁ

あなたの旅行153 ルーレットに飛び込んだ 撫で投げたんだ 少し大きめの、やわらかめの 宿意気まぐれのソフトボール

あなたの旅行152 続いたからといって 長さは価値ではない 想い出の数が比例するならば、 それは間違いない 例えば7つ続いて、あの星座のように 人の目印になるならばだ

あなたの旅行151 そう遠くない未来は 見極めるにはいささか 妄想と置くな、意味ないわ 幹は、メールにはいざ坂

あなたの旅行150 そういうときもあるよね だるまさんじゃあるまいし 誰が転ぶかよ 後ろから忍び寄っても それはもう昨日のこと そらはもう昨日のこと

あなたの旅行149 蜘蛛の巣のような電線を 避けるように ボルダリングのように そらをあるくくも

あなたの旅行148 身動きがとれない虫は 月を眺めて独り言 鼻歌になって 夜は笑った

あなたの旅行147 もともとの旅行この鼓動 身に覚えのないお土産 忘れてるだけ 言わんこっちゃない イイじゃん困っちゃいないんだから

浮いた銀杏は 人の優しさ 僕にはありあまるほどの ツヤのある銀杏ら

帰りの自転車 飛行機の音がしたから 見上げたら カラスだった 上へ 上へ 羽ばたいていった

外を見たら 庭で王様が泣いていた 月、 星、 池、 鈴

テーブルの上に馬 ブルブルしてる クミンのとなり 不眠の悩みかな

あなたの旅行142 帰りが遅くなった 星が見たくて わざとだよ 暗くならないと見えないようじゃ 定時に帰る資格もないか 月は笑う

あなたの旅行141 砂利と、石ころの その狭間がビー玉 間を取り持つには 透き通れ

あなたの旅行140. 歯ブラシでシャカシャカ 目の前の波はザブーン 上は夜の星 ピカピカ 海に映る星 ユラユラ

電柱の陰に 光を照らす 恥ずかしそうな陰が 喜んでいた

夜に向かって走れ 目印は旅のしおり 満天に投げつけろ 明日の衝動を

あなたの旅行137 がんばってるねおつかれさま 月曜の帰り道 長くなった日が 何度も振り返っては

あなたの旅行136 桜が雨を呼んだ 風も呼んだ 誘い文句は 飲みの誘いのように

あなたの旅行135 帰り道 桜の名所をまわると にぎやかで 切り上げてしまいそうだから 缶ビール 屋上で 感じ入る 当今へ

あなたの旅行134 街を見たら 今日は金曜だと分かった ホクホクのお帰りなさい ぼくのただいま 金曜のただいまが バレちゃってるか

あなたの旅行133 火はどこだ 夜でも歩かないといけないんだ 誰かを温めないといけないんだ 火はどこだ 新しい火を早く

あなたの旅行132 帰り道 何秒足を止められる？ その時間が 今日の余裕

あなたの旅行131 帰り道を さんぽと呼ぶ 風は やんだかい

あなたの旅行130 飛行機の音 かすめる夜 にわかに握り返したのは 今吹いた風ほどだった

あなたの旅行129 土曜だってのに 吐く息で消して、車窓から外 おさまりがつかないときは 飲みに出よう だれに会うでもない なにを見つけるでもない 行くというだけ 意味も理由も 本来 探すものじゃない

あなたの旅行128 金曜の帰り道 日が長いなぁとこぼす あそこの看板あんな色だったっけかぁ こぼせるものがあるということ

あなたの旅行127 理不尽なプレスをくらって 帰りのロッカーで 止まってしまっているかい 鍵を閉める音に 耳を澄ませ それがスイッチになる 幸せを待て

あなたの旅行126 トイレットペーパーの芯 なくなったよ がっかりされ 捨てられる そういうシゴト 芯のあるシゴト

あなたの旅行125 ストローの出口 目をつぶって、手をかざす ドッ と、重かった あれ、ティッシュ1枚だった